アーキブックコスト

建築コスト指数の一般公開について

公開日:2026年3月5日

アーキブック(弘文社)は、これまで限定的に公開していた非木造建物の建築コスト指数(アーキブック指数)について、主要項目を対象として一般公開したことをお知らせします。

アーキブック指数は、昨今の建設市場における物価変動の実態にできるだけ即した指数として作成することで、また、本指数を定期的に公開することで、特に非木造建物の建設事業にかかわる発注者、施工者、設計者などが抱える課題解決に寄与するものとします。

1. 背景と目的


建設市場では、世界的なインフレや円安の影響による資材価格の高騰と人手不足による労務費の上昇を受け、建築コストの高騰が続き、発注者や施工者といった建設プロジェクトの関係者を悩ませています。(下図参照)


全国における直接工事費の推移


例えば、開発プロジェクトの延期・中止やPFI事業にかかわる不調が増加しています。具体的に、2023年4月から2024年9月の18か月間に実施方針が公表されたPFI事業は126件、建築工事を含むものは76件で、すでに66件の結果が判明しており、66件中24件(36.3%)が不調となっております。(PFIの実施方針公表案件に基づいてアーキブックで集計)

その原因として、特に非木造建物について、公的な物価指数(公的指数)が実態の物価上昇率を反映できていないことにより、予算や予定価格を見直す際に実際に必要となる建築費より低い水準となってしまう点、また契約書に記載される物価スライドが機能していない点が挙げられます。
※本ページにおける「公的な物価指数(公的指数)」とは、建設分野において広く参照されている代表的な公表物価指数を総称したものです。

これらによる事業者側/受注者側の課題としては、発注者が予算を公的指数で見直すと予定価格の水準が低くて入札参加できないことにあります。(下図参照)


公的物価指数で見直すと予定価格の水準が低くて入札参加できない



また物価上昇分(物価スライド)が変更契約価格に適切に反映されないため、竣工時までに多額の損失が発生している点も事業者側/受注者側の課題として挙げられます。(下図参照)


物価スライド協議では公的物価指数が採用されている



物価上昇分(物価スライド)が変更契約価格に適切に反映されない



一方、発注者側の課題としては、上記理由による入札参加見送りによる不調/不落やプロジェクトの延期/中止の増加が挙げられます。

公的指数が実際の物価上昇率を反映できていない原因として、例えば「設備工事費上昇等の現状について(日本建設業連合会)」では以下の3点を挙げています。

① 汎用品をベースに作成しており、特注品や新素材・新商品等が反映されないこと
② 中型、中級グレードを基準としており、当会会員が手掛けるような規模、グレードと合致していない
③ 調査対象は売り手側(メーカー、販売店など)が基本となっており、設備協力会社等の経費上昇分が反映されていない

以上の背景を踏まえ、プロジェクトに関わる関係者の視点から、公的指数を採用することで生じている課題に対し、その解決策として活用可能な、実態に即した建築コスト指数(アーキブック指数)の構築を目指します。

アーキブック指数を予算策定時や物価スライド協議に活用することで、実勢に見合った適正な予定価格の設定や、関係者間で合理的かつ透明性の高い変更契約価格の算定を可能とし、結果として不調・不落の抑制や円滑な合意形成につなげることを目的とします。


2. 公開する建築コスト指数(アーキブック指数)について


1) 一般公開対象のアーキブック指数について

一般に、建築コストは建築費(建築プライス)を構成する「特定の建築工事における請負業者(建設業者)の工事原価」を指します。(下図参照)


建築費(建築プライス)の構成



アーキブック指数は、建築コストを構成する直接工事費(建築工事費、設備工事費)と、その内訳である建築工事費(躯体工事費、仕上工事費)と設備工事費(電気設備工事費、衛生設備工事費、空調設備工事費、昇降機設備工事費)の観点から、全国における非木造建物を対象として、2020年からの四半期および年次指数で公開します。(下表参照)

対象内容
1. 地域全国
2. 建物用途・構造非木造建物
3. 項目直接工事費建築工事費躯体工事費
仕上工事費
設備工事費電気設備工事費
衛生設備工事費
空調設備工事費
昇降機設備工事費
4. 期間2020年からの四半期および年次指数


アーキブック指数に関する最新レポートはこちらのページから確認できます。

また、各指数の2020年から2025年までの推移は下図の通りです。


全国における建築コスト指数(アーキブック指数)の推移



2) 建築コスト指数(アーキブック指数)の作成方法について

アーキブック指数は、発注者、設計者、施工者等への調査票・ヒアリングに基づいて作成します。

発注者、設計者、施工者等への調査・ヒアリングは四半期ごとに実施し、得られた調査票を統計的なアプローチで分析・評価するに加え、ヒアリング結果も踏まえて指数を作成します。

このように調査票・ヒアリングをベースとした作成方法を採用することで、例えば「特注品や新素材・新商品等が反映されない」「設備協力会社等の経費上昇分が反映されていない」といった現行の物価指数で織り込まれていない物価上昇を含み、より実態に即した建築コスト指数の作成につながると考えています。

アーキブック指数では、上記の調査結果を踏まえ、建設プロジェクトの予算策定や物価スライド協議等の実務で利用しやすいよう、一定の基準で整理したうえで公表しています。

なお、アーキブック指数の作成にあたっては、調査票においてより詳細な内訳項目についても任意で回答を取得していますが、一般公開としては、実務での利用頻度が高く、比較可能性の高い主要項目に整理したうえで公表しています。詳細な内訳項目は指数作成・分析の参考として取得しており、一般公開データとして全項目を公表するものではありません。

具体的な調査票の内容については「調査票・ヒアリングご協力のお願い」を参照ください。


3. 公的な物価指数(公的指数)との比較


直接工事費指数、建築工事費指数、躯体工事費指数、仕上工事費指数の各指数と公的な物価指数(公的指数)との比較については下図の通りです。


直接工事費指数、建築工事費指数、躯体工事費指数、仕上工事費指数の各指数と公的な物価指数(公的指数)との比較



続いて、設備工事費指数、電気設備工事費指数、衛生設備工事費指数、空調設備工事費指数の各指数と公的指数との比較については下図の通りです。


設備工事費指数、電気設備工事費指数、空調設備工事費指数、衛生設備工事費指数の各指数と公的な物価指数(公的指数)との比較




4. 建築コスト指数(アーキブック指数)Excelデータの取得先について


アーキブック指数(Excelデータ)は「こちらのフォーム」から取得できます。「建築コスト指数(アーキブック指数)(Excelデータ)利用規約」に同意の上、フォームに入力後、ダウンロードページURLが入力メールアドレスに送付されますので、データを取得願います。

※上記Googleフォームにアクセスできない場合は「こちらのフォーム」からお問い合わせ願います。


5. 調査票・ヒアリングご協力のお願い


アーキブック事務局では、今後も建築コスト指数(アーキブック指数)をより実態に即した指数として更新していくにあたり、調査票・ヒアリングの対象者を随時募集します。調査票・ヒアリングにご協力いただける場合は「こちらのフォーム」から調査票の内容をご確認の上、ご回答願います。

また、調査票・ヒアリングにご協力いただける場合、対象地域に「東京都」また対象期間に「2017年、2018年、2019年」を加えた建築コスト指数(アーキブック指数)Excelデータをお送りします。

※上記Googleフォームにアクセスできない場合は「こちらのフォーム」からお問い合わせ願います。


6. お問い合わせ等について


本件に関するお問い合わせ等については「こちらのフォーム」からお問い合わせ願います。


7. 建築コスト指数(アーキブック指数)Excelデータ利用規約


本利用規約(以下「本規約」といいます)は、弘文社株式会社(以下「当社」といいます)が運営する「ARCHIBOOK(アーキブック)」において公開・提供する建築コスト指数(アーキブック指数)に関するExcelデータ(以下「本データ」といいます)の利用条件を定めるものです。
本データをダウンロードまたは利用した場合、利用者は本規約の内容に同意したものとみなします。

第1条(著作権および権利帰属)

1.本データに関する著作権、編集著作権、データベース著作権その他一切の知的財産権は、すべて当社(弘文社株式会社)に帰属します。

2.本規約に基づき本データの利用が許諾された場合であっても、当該利用許諾は、当社が有する著作権その他の権利を利用者に譲渡するものではありません。

第2条(利用目的および利用範囲)

1.本データは、以下の目的に限り利用することができます。
(1)建設プロジェクトにおける予算策定時の検討資料としての利用
(2)建設工事に係る物価スライド協議、変更協議、変更契約価格の算定における参考資料としての利用
(3)建設市場における物価動向および建築コストの実勢を把握し、実勢に見合った適正な予定価格の設定や、関係者間で合理的かつ透明性の高い合意形成を図ることを目的とした内部検討および分析
(4)前各号の利用を通じて、入札不調・不落の抑制および円滑なプロジェクト推進に資することを目的とした社内利用

2.前項に定める利用は、利用者本人または利用者が所属する組織内部における利用に限定されるものとし、第三者への提供、共有、公開等は、本規約において別途認められる場合または当社の事前の書面による承諾がある場合を除き、これを禁止します。

第3条(禁止事項)

利用者は、本データについて、以下の行為を行ってはなりません。
1.第三者への再配布、譲渡、貸与、販売、共有(有償・無償を問いません)
2.本データの全部または一部を加工、編集した上で第三者に提供する行為
3.本データを用いた二次的著作物、指数、資料、データベース等を作成し、公開または提供する行為
4.本データを、自社または第三者のサービス、媒体、ウェブサイト、SNS、営業資料、プレゼンテーション資料等に転載、引用、掲載する行為
5.当社の事前の書面による承諾なく、本データを基にした成果物を公表または配布する行為

第4条(データ内容の性質)

1.本データは、当社が独自に収集・分析した情報に基づき作成されたものであり、特定の工事費、契約価格、事業収支等を保証するものではありません。
2.本データは、作成時点における情報を基にしており、将来の物価動向や建築コストの変動を保証するものではありません。

第5条(免責事項)

1.当社は、本データの利用または利用不能により生じた損害(直接的損害、間接的損害、付随的損害、特別損害を含みますが、これらに限られません)について、一切の責任を負いません。

2.当社は、本データの内容の正確性、完全性、有用性について万全を期しておりますが、その完全性を保証するものではありません。

第6条(規約の変更)

当社は、必要と判断した場合には、利用者への事前の通知なく、本規約の内容を変更することがあります。
変更後の本規約は、ARCHIBOOK上に掲載された時点から効力を生じるものとします。

第7条(準拠法および管轄)

1.本規約は、日本法を準拠法とします。
2.本規約または本データに関連して当社と利用者との間に生じた紛争については、当社本店所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。

附則
本規約は、本データのダウンロード提供開始日より適用されます。

以上

2026年1月15日制定


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