ゼネコン規模別の比較|ゼネコン規模別の状況把握【2024年版】
【業績から比較するゼネコン規模別の状況|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点からみた状況について紹介していきます。
具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況をベースに、下記の点より比較して紹介します。
- 1. 受注高の比較
- 2. 売上高の比較
- 3. 繰越高の比較
- 4. 手持ち工事月数の比較
- 5. 営業利益の比較
- 6. 営業利益率の比較
- 7. 従業員数の比較
- 8. 平均年齢の比較
- 9. 平均勤続年の比較
- 10. 平均年収の比較
- 11. 従業員あたり受注高の比較
- 12. 従業員あたり売上高の比較
- 13. 従業員あたり繰越高の比較
- 14. 従業員あたり営業利益の比較
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の比較
まず、ゼネコン規模別の観点から受注高について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1兆6,508億円、準大手ゼネコン10社の平均は4,277億円、中堅ゼネコン8社の平均は1,915億円となりました。これより、平均的な受注高の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.9倍、中堅ゼネコンに対しては約8.6倍の大きさとなっていることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.2倍の大きさとなっています。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ3,227億円、6,114億円でした。
2. 売上高の比較
次に、ゼネコン規模別の観点から売上規模について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1兆4,716億円、準大手ゼネコン10社の平均は4,380億円、中堅ゼネコン8社の平均は1,735億円となりました。これより、平均売上の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.4倍、中堅ゼネコンに対しては約8.5倍の大きさであることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.5倍の規模となっています。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均の売上規模はそれぞれ3,204億円、5,707億円でした。
3. 繰越高の比較
続いて、ゼネコン規模別の観点から繰越高について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は2兆2,527億円、準大手ゼネコン10社の平均は6,644億円、中堅ゼネコン8社の平均は2,680億円となりました。これより、平均的な繰越高の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.4倍、中堅ゼネコンに対しては約8.4倍の規模となっていることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.5倍の大きさとなっています。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ4,882億円、8,718億円でした。
4. 手持ち工事月数の比較
さらに、ゼネコン規模別の観点から手持ち工事月数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は18.4ヵ月、準大手ゼネコン10社の平均は18.2ヵ月、中堅ゼネコン8社の平均は18.5ヵ月となりました。(下図参照)
これより、中堅ゼネコン8社が最も手持ち工事月数が長いゼネコン規模となり、続いて準大手ゼネコン10社、そしてスーパーゼネコン5社が最も手持ち工事月数の短いゼネコン規模となっていることが分かります。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ18.3ヵ月と18.3ヵ月でした。
5. 営業利益の比較
ここで、ゼネコン規模別の観点から営業利益について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は251億円、準大手ゼネコン10社の平均は192億円、中堅ゼネコン8社の平均は57億円となりました。これより、平均的な営業利益の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約1.3倍、中堅ゼネコンに対しては約4.4倍の大きさであることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約3.4倍の規模となっています。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均の営業利益はそれぞれ132億円、158億円でした。
6. 営業利益率の比較
一方、ゼネコン規模別の観点から営業利益率について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1.7%、準大手ゼネコン10社の平均は4.4%、中堅ゼネコン8社の平均は3.3%となりました。(下図参照)
これより、準大手ゼネコン10社が最も営業利益率が高いゼネコン規模となり、続いて中堅ゼネコン8社、そしてスーパーゼネコン5社は最も営業利益率の低いゼネコン規模となっていることが分かります。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ4.1%、2.8%でした。
7. 従業員数の比較
ここで、ゼネコン規模別の平均的な従業員数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は9,926人、準大手ゼネコン10社の平均は3,525人、中堅ゼネコン8社の平均は1,570人となりました。これより、平均的な従業員数の観点より見たスーパーゼネコンの規模は、準大手ゼネコンに対して約2.8倍、中堅ゼネコンに対しては約6.3倍大きいゼネコンであることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.2倍の規模のゼネコンであると言えます。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均の従業員数はそれぞれ2,656人、4,236人となっています。
8. 平均年齢の比較
続いて、ゼネコン規模別の平均年齢について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は43.4歳、準大手ゼネコン10社の平均は43.5歳、中堅ゼネコン8社の平均は43.2歳となりました。これより、規模別の観点でみた平均年齢は43.2歳から43.5歳までの極めて狭い範囲の中にあることが読み取れます。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均年齢はそれぞれ43.5歳、43.4歳となっています。
9. 平均勤続年の比較
ゼネコン規模別の平均勤続年数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は17.4年、準大手ゼネコン10社の平均は17.9年、中堅ゼネコン8社の平均は17.5年となりました。(下図参照)
これより、規模別の観点でみた平均勤続年数は17.4年から17.9年までと、非常に狭い範囲にあることが読み取れます。準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均勤続年数はそれぞれ17.8年、17.6年となっています。
10. 平均年収の比較
ここで、ゼネコン規模別の観点から平均年収について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1053.8万円、準大手ゼネコン10社の平均は896.4万円、中堅ゼネコン8社の平均は863.9万円となりました。これより、スーパーゼネコンにおける平均年収の水準は、準大手ゼネコンに対して約157万円、中堅ゼネコンに対しては約190万円高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点でみてみると、準大手ゼネコンにおける平均年収は、中堅ゼネコンに対して約32万円高い水準にあります。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ887.9万円、972.4万円でした。
11. 従業員あたり受注高の比較
ゼネコン規模別に従業員あたり受注高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は166.3百万円/人、準大手ゼネコン10社の平均は121.3百万円/人、中堅ゼネコン8社の平均は122.0百万円/人でした。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ121.5百万円/人と144.3百万円/人になっています。
12. 従業員あたり売上高の比較
続いて、ゼネコン規模別に従業員あたり売上高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は148.3百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は124.3百万円 /人、中堅ゼネコン8社の平均は110.5百万円 /人でありました。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ120.7百万円 /人と134.7百万円 /人となっています。
13. 従業員あたり繰越高の比較
さらにゼネコン規模別に従業員あたり繰越高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は226.9百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は188.5百万円 /人、中堅ゼネコン8社の平均は170.7百万円 /人でした。(下図参照)
そして、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ183.8百万円 /人と205.8百万円 /人となっています。
14. 従業員あたり営業利益の比較
ここで、ゼネコン規模別に従業員あたり営業利益を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は2.5百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は5.5百万円/人、中堅ゼネコン8社の平均は3.6百万円 /人となっています。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ5.0百万円 /人と3.7百万円 /人でした。
参考|主要データ一覧
最後に、今回対象とした規模別のゼネコン大手23社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【対象としたゼネコン大手23社】
ゼネコン規模 | 会社名 |
スーパーゼネコン | 清水建設 大成建設 大林組 鹿島建設 竹中工務店 |
準大手ゼネコン | 五洋建設 長谷工コーポレーション 戸田建設 熊谷組 前田建設工業 西松建設 三井住友建設 安藤ハザマ 東急建設 フジタ |
中堅ゼネコン | 奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設 |
【ゼネコン規模別の状況比較|主要データ一覧】
項目 | スーパーゼネコン | 準大手ゼネコン | 中堅ゼネコン | 準大手・中堅ゼネコン18社 | 大手ゼネコン23社 |
① 受注高 | 8兆2539億円 | 4兆2767億円 | 1兆5319億円 | 5兆8086億円 | 14兆0625億円 |
② 売上高 | 7兆3579億円 | 4兆3800億円 | 1兆3878億円 | 5兆7678億円 | 13兆1256億円 |
③ 繰越高 | 11兆2635億円 | 6兆6441億円 | 2兆1441億円 | 8兆7881億円 | 20兆0517億円 |
④ 営業利益 | 1256億円 | 1924億円 | 453億円 | 2377億円 | 3634億円 |
⑤ 営業利益率 | 1.7% | 4.4% | 3.3% | 4.1% | 2.8% |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.4ヵ月 | 18.2ヵ月 | 18.5ヵ月 | 18.3ヵ月 | 18.3ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 4万9630人 | 3万5245人 | 1万2558人 | 4万7803人 | 9万7433人 |
⑧ 受注高(平均) | 1兆6508億円 | 4277億円 | 1915億円 | 3227億円 | 6114億円 |
⑨ 売上高(平均) | 1兆4716億円 | 4380億円 | 1735億円 | 3204億円 | 5707億円 |
⑩ 繰越高(平均) | 2兆2527億円 | 6644億円 | 2680億円 | 4882億円 | 8718億円 |
⑪ 営業利益(平均) | 251億円 | 192億円 | 57億円 | 132億円 | 158億円 |
⑫ 従業員数(平均) | 9926人 | 3525人 | 1570人 | 2656人 | 4236人 |
⑬ 平均年齢(注1) | 43.4歳 | 43.5歳 | 43.2歳 | 43.5歳 | 43.4歳 |
⑭ 平均勤続年数(注1) | 17.4年 | 17.9年 | 17.5年 | 17.8年 | 17.6年 |
⑮ 平均年収(注1) | 1053.8万円 | 896.4万円 | 863.9万円 | 887.9万円 | 972.4万円 |
⑯ 従業員あたり受注高 | 166.3百万円/人 | 121.3百万円/人 | 122.0百万円/人 | 121.5百万円/人 | 144.3百万円/人 |
⑰ 従業員あたり売上高 | 148.3百万円/人 | 124.3百万円/人 | 110.5百万円/人 | 120.7百万円/人 | 134.7百万円/人 |
⑱ 従業員あたり繰越高 | 226.9百万円/人 | 188.5百万円/人 | 170.7百万円/人 | 183.8百万円/人 | 205.8百万円/人 |
⑲ 従業員あたり営業利益 | 2.5百万円/人 | 5.5百万円/人 | 3.6百万円/人 | 5.0百万円/人 | 3.7百万円/人 |
注1)前田建設工業はインフロニア・ホールディングスの値に基づいて作成。
注2)値は「単独」に基づく。
注3)フジタの繰越高は弘文社による推計値
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点から、受注高や売上高といった業績の状況をベースに比較して紹介しました。
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