淺沼組の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2025年版】
【業績から把握する淺沼組|2025年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである淺沼組について紹介していきます。具体的には、2025年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2024年度における淺沼組の受注高は1693億円と前年度から約0.5%の増加となりました。受注高は、2014年度の1184億円から2016年度の1531億円まで増加傾向で推移した後、2017年度の1388億円まで減少しました。そして、2018年度に1537億円と直近の10年間で最も高い水準まで増加した後、2020年度の1192億円まで2年連続で減少していましたが、2021年度から4年連続で増加しています。また、この2024年度の水準は、2011年度の1059億円と比較すると約59.9%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約84.9%、土木工事が約15.1%を占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約54%であることを踏まえると、淺沼組は中堅ゼネコンの中でも建築工事に特化したゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2024年度における売上高は1557億円と前年度より約9.5%の増加となりました。売上高は、2014年度の1260億円から2015年度の1462億円まで増加しました。そして、2016年度の1321億円まで減少した後、2017年度は1427億円の水準まで回復しましたが、2018年度に1346億円まで減少しています。そこから、2019年度に1390億円まで増加した後、2021年度の1325億円まで2年連続で減少していましたが、2022年度から増加に転じています。この2024年度の水準は、底であった2012年度の1196億円と比較すると約30.2%高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2024年度における淺沼組の繰越高は1905億円と前年度から約7.9%の増加となりました。繰越高は2011年度の1405億円より2015年度の1168億円まで4年連続の減少傾向で推移した後、2016年度は1383億円まで増加しました。その後、繰越高は直近の10年間で最も高い水準となった2019年度の1618億円まで増加傾向で推移しました。そこから、繰越高は、2020年度に1442億円まで減少しましたが、2021年度から4年連続で増加していることが読み取れます。また、2024年度の水準は、底となった2015年度の水準と比較して約63.1%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2024年度における淺沼組の手持ち工事月数は14.7ヵ月でした。手持ち工事月数は2017年度の11.3ヵ月から2年連続で増加し、2019年度には14.0ヶ月と過去10年間で最も高い水準となっていました。そこから2020年度に12.6ヵ月まで減少したものの、2021年度から3年連続で増加し、2024年度は減少に転じていることが読み取れます。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2024年度における淺沼組の営業利益は59億円と前年度より約156.5%増加しました。営業利益は2011年度の-73億円から2017年度の78億円まで6年連続の増加傾向で推移しましたが、2018年度は57億円と減少へ転じました。そこから、2019年度の65億円まで増加したものの、2020年度から4年連続で減少し、2024年度は増加に転じています。(下図参照)
また、2024年度の営業利益率は3.8%でした。営業利益率は、営業利益の推移と極めて類似した推移となっており、2017年度の5.5%を山として2018年度の4.2%へ下落した後、2019年度の4.7%まで上昇したものの、2020年度から4年連続で下落し、2024年度は上昇に転じています。
5. 従業員の状況
2024年度における淺沼組の従業員数は1261人でした。また、従業員数は2014年度の1195人から6年連続の穏やかな増加傾向で推移した後、2021年度は減少しましたが、2022年度は再び増加していることが分かります。一方で、2023年度から減少に転じています。なお、従業員数は2015年度より概ね1250人前後の水準で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2024年度における従業員の平均年齢は45.0歳、平均勤続年数は22.0年、平均年収は896.2万円でした。
さらに淺沼組の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約134.3(百万円/人)、123.5(百万円/人)、151.1(百万円/人)、4.7(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【淺沼組の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1693億円 | |
② 売上高 | 1557億円 | |
③ 繰越高 | 1905億円 | |
④ 営業利益 | 59億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.8% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 14.7ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1261人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 22.0年 | |
⑩ 平均年収 | 896.2万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 134.3(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 123.5(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 151.1(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 4.7(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1438億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 255億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである淺沼組の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
◇業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ
◇実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
◇職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】TOPへ
◇購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】TOPへ
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【過去データ】TOPへ
「ゼネコンランキング」はこちらから↓
・受注高ランキング
・売上高ランキング
・繰越高ランキング
・手持ち工事月数ランキング
・営業利益ランキング
・営業利益率ランキング
・従業員数ランキング
・平均年齢ランキング
・平均勤続年数ランキング
・平均年収ランキング
「ゼネコン規模別の状況把握」はこちらから↓
・スーパーゼネコン
・準大手ゼネコン
・中堅ゼネコン
・準大手・中堅ゼネコン18社
・ゼネコン大手23社
・ゼネコン規模別の比較
「スーパーゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・清水建設
・大成建設
・大林組
・鹿島建設
・竹中工務店
「準大手ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・五洋建設
・長谷工コーポレーション
・戸田建設
・熊谷組
・前田建設工業
・西松建設
・三井住友建設
・安藤ハザマ
・東急建設
・フジタ
「中堅ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・奥村組
・鉄建建設
・東洋建設
・東亜建設工業
・淺沼組
・飛島建設
・錢高組
・大豊建設
「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!
「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「手持ち工事高」の水準は!?